前回からの続きです。
築堤時の施工管理において盛立管理以外に着目しておくべきことは、
湧水量・浸潤線・浸透水量などが大切だと思います。
これらが調査時や施工時(基礎掘削時)の時点で確認された場合は、
水質・量を確認しておく必要があります。
これにより、基礎からの湧水量を基底流量として把握しておけます。
完成時には、この基礎からの湧水も含められて浸透水として観測されます。
杵臼ダムの浸透水観測(2007年01月29日)へリンク
特に、浸潤線は既設のため池の場合において、貯水位の影響に加え、
地山からの浸透の影響などを受ける場合がありますので、湛水前からの
浸潤線(地下水位)を測定し、季節変化や降雨の影響、貯水位の関連など把握しておきます。
杵臼ダムにおいても、調査時点から、右岸アバット部において、貯水位の関連性が高い浸みだしが確認されています。
調査時浸みだし箇所

調査時点の確認項目が施工時(基礎掘削)時にその全貌が・・・
既設のため池は大正15年に築造されたことから長い年月を経ており
旧堤体と地山の接合部の境界付近からの水みちと思われる部分が確認できます。
基礎掘削時の写真が下記のとおりです。

写真の左側は、堅い岩盤です。写真の右側は、旧堤体のコア材です。
岩盤と現ため池コア材と確認できる間のゾーンから浸みだしが確認されました(青丸)。
浸みだしの原因は、
@ 経年変化により岩盤が風化したことで浸透水が岩盤沿いにしみだしてきた?
A もともと岩盤からの湧水が多かった?
B 着岩部付近の転圧が不十分だった?
C 盛立材料が他の場所と異なっていた?
などの推測できます。
でも、当時の記録があまり残っていないので何ともいえません。
しかし、水は、正直に何らかの要素で浸透していることがわかりました。
今回の嵩上げ盛立によりこの浸みだし周辺は、新堤体コアを盛立します。
新堤体のコアで遮水されますので、浸みだしの原因となる水みちはふさがれ、
そのうち流速が遅くなることにより目詰まり状態となり、浸透量が減少され、
より安全なものとなるものと期待できます。
このような経過が記録して残っていると完成後の後世のダム管理や補修などに反映されます。
では、次回は、初期湛水時の挙動判定や完成後の安全管理を述べることとします。